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ボトックス治療

顔面けいれんに対するボトックス治療

片側顔面けいれん(Hemifacial Spasm)は、片側の顔面筋に不随意な収縮が繰り返し起こる病気で、目の周囲のピクつきから始まり、次第に口元や頬にまで広がることが一般的です。進行すると日常生活に支障をきたすだけでなく、対人関係や心理面にも大きな影響を与えることがあります。
原因の多くは、脳幹から出る顔面神経(第Ⅶ脳神経)が、血管によって慢性的に圧迫されることにより、神経が過敏な状態(異所性興奮)になることにあります。この病態に対し、根治を目指すのであれば「微小血管減圧術(MVD)」という外科的治療が選択肢となりますが、手術を希望しない方や、全身麻酔のリスクを避けたい方には、ボトックス治療(ボツリヌス療法)が極めて有効な保存的治療となります。

ボトックス治療とは?

ボトックスとは、ボツリヌス毒素を極微量使用し、過剰な筋肉の動きを一時的に抑える薬剤です。けいれんの起きている顔面の特定の筋肉に注射することで、神経から筋肉への刺激伝達をブロックし、不随意な収縮を抑制します。
・効果の発現:通常、数日~1週間程度で効果が現れ、3~4ヶ月間持続します。
・注射部位:眼輪筋、頬筋、口輪筋など、症状に応じて選択します。
・副作用:軽度の表情の左右差や、まぶたの下垂などが一時的に見られることがありますが、多くは数週間で軽快します。
・治療の反復性:効果が切れる前に継続的に治療を受けることで、安定したコントロールが可能です。

なぜ脳神経外科で行うのか?

ボトックス治療は美容皮膚科でも行われていますが、顔面けいれんという神経疾患に対して行う場合、解剖学的知識と神経生理学的理解に基づいた精密な注射技術が求められます。当院では、神経機能の評価に長けた脳神経外科専門医が、顔面神経支配の解剖を熟知した上で、安全かつ効果的な注射を行います。また、画像診断(MRI)による責任血管の有無の確認や、MVD手術の適応判断も併せて行うことが可能です。